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家族の「気づき」と「早期発見・早期治療」

家族がうつ病かもしれないと気づいたとき、あるいはうつ病だと病院で診断を告げられたとき、多くの方は「まさかわたしの家族が⋯⋯」という思いを抱かれることでしょう。

うつ病は決して特別な病気ではありません。年齢にかかわらず、誰でもがかかりうる病気です。日本人の一生の間にうつ病など気分障害といわれる病気かかる人の割合は、7%弱(※)と報告されています。「日本人の15人に1人は、一度はうつ病にかかる」割合といわれているのです。

「うつ病」は、心臓病や、がんなどの病気と違って、検査をすれば異常がデータとして示されるといったものではありません。本人がとてもつらい思いをしているのにもかかわらず、家事や仕事をすることができ、日常生活をすることもできます。そのため、はたからみていても「それほどつらそうにみえない」などということも少なくありません。

しかし、本人は「大変な無理を重ね、つらい思いをしながら何とかこなしている」という状態だということをまずわかってあげてください。周囲に心配をかけまいとして、身近な家族にさえ、必死に不調を隠しているため、気づかれにくいということはよくあることです。

うつ病にかかったときの特徴としては、行動が遅くなったり、何もやる気がなさそうにみえたりします。本人はけっして怠けているわけではなく、本人自身が「したくても、うまくできない、手早くできない」ことをもどかしく感じながら、つらい思いをしているのです。

<30代のキャリアウーマンの経験>

―――わたしはもともと、とても明るい性格でした。社交的で友人も多い方でした。会社では率先して仕事を引き受け、前向きに会社のために働いていました。頼まれた仕事は自分がみこまれたのだから断ってはいけない、という思いで、常に忙しい状態のなかでも満足感がありました。

ところが、徐々に自分の様子が変わってきました。

  • 夜眠っていても、途中で目が覚めるようになった
  • 夜中に起きると、眠ることができなくなった
  • 朝起きたとき、ぼうっとして疲れがとれなくなってきた
  • いつもは読んでいた朝の新聞を読むのがおっくうでめんどうになってきた
  • 体重が3ヵ月で5キロも減った
  • めまい・頭痛が増えてきた

こんな状態を疲れだろうと思い、あまり気にしないようにしていました。

しかし、ある日、仕事中に急に強い不安を感じました。以前の自分なら難なくこなせたはずなのに⋯⋯。

  • 集中できない
  • 焦りだけがつのる
  • 「自分はなんてだめなんだ⋯」「こんな仕事もできないなんて」と自分を責める
  • 一睡もできず、翌朝を迎える
  • 朝、会社に行くのが、おっくうになる
  • 出社しても仕事が手につかず、すすまない
  • 午後になるとやっとどうにか仕事ができる
  • 遅れを取り戻そうと、残業が増え、帰りが遅くなる

わたしは、悪循環に陥っている自分に気づきながらも、必死にがんばっていました。

それなのに周囲からは、「仕事ができていない」と叱られ、家族からは「帰りが遅いし、家族サービスがない」といわれ、会社や家族に申しわけない気持ちでいっぱいでした。まるで暗く長いトンネルに入ってしまい、先の明かりがみえないような気持ちでした。

この女性のケースでは、家族が「うつ病ではないか」と疑いをもち、「病院に行った方がいいのでは」というすすめから、精神科を受診し治療することになり、順調に回復することができました。

本人の性格からすると、精神科の専門医にかかるのがもっと遅くなっていたことも十分考えられ、回復に手間取る結果になったことが予想されます。

「うつ病」は、とてもつらい苦痛をともなうはずですが、患者さんの3割程度しか医療機関にかかっておらず、精神障害の程度が重症な人ほど受診が少ないという報告もあります。

その背景には、「うつ病」などのメンタルな問題に関して、本人や家族、社会の誤解や偏見があるために、受診になかなか踏み切れないということや、家族や周囲が気づかないことが要因としてあげられます。

うつ病は、多くが治療によって治る病気です。重症になればなるほど、治療がむずかしくなる病気です。症状が軽いうちに診てもらう、早期発見や早期治療が大切です。そのためには家族や周囲の人の気づきが大切です。

家族や友だちが異変に気づいたら、早く専門医への受診をすすめるようにしてください。

※精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンドより

※この物語はフィクションです。文中に登場する人物・会社などはすべて架空であり、実在のものとは関係ありません。尚、リワークにかかわる内容は事実に基づいた表現を心がけています。ご了承ください。

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